基本理念
“一流” の画像診断技術を国民へ提供できる部門へ
人材育成
広島大学病院の画像診断部門は、医療の発展に伴う最先端医療に沿った画像情報を配信しています。画像診断の多くは、コンピュータを搭載した大型医療機器による画像情報です。スタッフは機器を駆使するための専門教育が必須です。我々が従事する医療の世界は日々発展し、それに速やかに対応する義務が課せられます。
先端医療機器による検査施行は、適正な管理下で高度な技術を必要とします。また、最高な医療サービスが常に提供できるように担保できる体制を構築するために、教育は大変重要になります。
当部門が掲げる教育とは、新人に対する人材育成および養成になります。育成計画は、一般撮影を第1段階に置き、第2段階は救急撮影および当直業務が配置可能となるCT検査業務に対応できる段階を定めています。また、第1・2段階は2年以内に終了することを目標期間と定めています。第3段階は3年目以降に他の専門分野であるMRI、AG・IVR、RI、DR、USに配置し、それぞれ年単位で専門性を高める。同時に第4段階の初期マネージメントについての育成を図ります。
画像診断部門に関係する医療技術は、十分な知識(教育・研修・研究等)を持ち、チーム医療の一員として信頼される人間性豊かな質の高い診療放射線技師の育成を計画しています。
また、緊急被ばく医療体制として広島大学緊急被ばく医療推進センターの支援業務にも携わり、教育、指導ができる人材を育成しています。
教育指導委員
当部門の教育指導員の役割は専門分野に核となる責任者のことを意味する。専門分野は一般撮影、歯科撮影、救急撮影、CT、MRI、AG・IVR、RI、DR、USの専門分野に分けている。指導者は核となる人材育成を中心に臨床業務、研究に関わる指導を実施しています。
一般撮影
最適な医療を提供するために、専門技術だけではなく良質な接遇を実践し、装置管理、被曝低減を含めた安全・安心を担保した精度の高い画像情報を提供します。
また、専門性を高めるため認定専門技師を養成し、特定機能病院として地域社会に貢献できる地域連携拠点として発信できるよう人材育成にも力を入れています。
具体的習得目標
1) 患者及びスタッフとの円滑なコミュニケーションを図り、適切な患者接遇を実践する。
2) 最適画像が得られるように、補助具を使用しての患者の快適さを考慮したポジショニング、X線の入射方向等の撮影技術を習得する。
3) 患者個々・状態を考慮に入れた、適切な撮影条件及び画像処理法の知識・技術を習得する。
4) 撮影画像を読影し、展開・応用能力(追加撮影、画像処理変更・修正等)を習得する。
5) 医療の安全を遂行するために、放射線防護を施し、被曝低減の方策を習得する。
6) 機器・装置の原理・構成を理解し、トラブル対応、日常管理、精度管理について習得する。
7) 臨床医学の発展に寄与すべく日々、自己研鑽する。
歯科撮影
口腔・顎顔面領域において患者様への被ばくおよび撮影に伴う苦痛の低減に配慮し、安全で質の高い検査を提供します。心に響く接遇に取組みます。患者様の疾患および状態に対応できる撮影技術を習得します。
具体的習得目標
1) 撮影原理を理解し、疾患に対応したパノラマ撮影を行うことができる。
2) 小児等安静が困難な患者様の口内法撮影を安全に行うことができる。
3) CBCTの撮影原理を理解し、最適な撮影方法を選択し安全に検査を行うことができる。
4) 被ばくの低減および管理を行うことができる。
5) 感染防止・衛生管理を理解し、実行することができる。
6) 撮影機器・周辺機器・消耗品等の管理を行うことができる。
救急撮影
院内外または時間内、時間外に対応できる診療放射線技師で市中病院の緊急検査技術の指導等、的確な判断指導が実践できる救急撮影認定を有する資格者の指導を養成しています。
具体的習得目標
1)救急初期診療における検査の対応ができる。
2)重症患者に対するポータブル撮影、CT、MRI検査が行える。
3)一般救急外来患者への対応ができる。
4)救急医療チームへの参加迅速に対応ができる。
5)災害時の医療対応ができる。
軽症から重症まで救急疾患全般にわたる初療およびその後の治療の経験を通して、技師として求められる救急撮影技術の習得を図る。
CT
検査の標準化を進め、装置の精度管理体制、被ばく線量測定および被ばく低減などに取り組み、各CT装置で安全で質の高い検査を実施し、診断情報の高い画像を提供します。また各病院の専門技術育成リーダーとして専門技師認定者を養成するとともに、読影能力の向上に取り組んでいます。
具体的習得目標
1)患者とのコミュニケーションをとり、円滑、安全に検査が施行できるように対応する。
2)CT装置を効率よく正確に作動させるための基本技術・知識を習得する。
3)臨床実践で必要な画像再構成理論および各種補正、ヘリカル補間、心電同期再構成、
画像処理などの知識を習得する。
4)画像表示処理方法の特徴を理解し、画質に及ぼす影響因子、性能評価、線量特性など
の撮影因子の知識を習得する。
5)医療安全の確保のために、造影剤の適正な使用方法や副作用に関する知識と対応を習
得する。また、被ばく線量の適正化・管理について習得する。
6)多職種とのチーム医療を連携し、緊急CT検査に対応できる技量を習得する。
7)医療機器の管理のために、日常点検や定期点検に関わる管理方法習得する。
スクリーニング検査、フォーローアップ検査、術前検査、救急検査までの多岐にわたるCT検査技術を習得する。
MRI
MR検査を安全性に行うための知識、金属類の持ち込みに関する危険性について学び、基本的な撮像方法から最新の撮像技術まで習得します。MR専門技術者を養成し、高度な知識と技術を地域の勉強会や研修会などで指導できる人材を育てます。
具体的習得目標
1) 患者とのコミュニケーションをとり、円滑、安全に検査が施行できるように対応する。
2) 磁場による影響について知識を習得し、安全性を考慮したな検査ができる。
3) 急性期脳梗塞などの緊急検査への対応ができる。
4) 装置のコンソール・周辺機器の基本操作ができ、画像処理方法を習得する。
5) 金属類の持ち込みの危険性を十分認識し、適切な対応と指導ができる。
6) 基本的な原理を理解し、撮像方法の選択やシーケンスのプランができる。
7) アーチファクトや画質の評価ができ、追加撮像・再撮像に対応できる。
8) 装置のトラブルへの対応ができる。
9) 装置の性能評価方法を理解し、精度管理ができる。
AG・IVR
ハイブリッド手術による適応の拡大、医療機器の発展にともなう手技の高度化に対応するため、的確な画像を提供できるテクニカルスキル、チーム医療、緊急対応、被ばく低減について習得します。高度な知識・経験を要する血管撮影・インターベンション専門診療放射線技師を養成し、対人的な相互作用の経験を通じてチーム医療の実践ができる人材を育成します。
具体的習得目標
1) 血管撮影検査・IVRに対応可能である。
2) 検査の意義・治療の目的を理解し、的確な画像を提供できる。
3) 緊急検査に対応可能である。
4) 特殊な検査・複雑な症例に精通する。
5) チームワーク医療を理解し実践できる。
6) 患者・術者の被ばく低減方法を理解し実践できる。
7) 血管造影装置・周辺機器・デバイスの管理ができる。
RI
核医学(PETおよびSPECT)装置とCT装置が融合した装置で検査を施行するため、双方の知識の習得が不可欠です。また、放射性同位元素および放射線発生装置の取扱いに関し、法律を熟知し、それに基づいた放射線安全管理の実施が求められます。
具体的習得目標
1)プロトコールに準じたPET/CT検査が実施できること。
2)プロトコールに準じたSPECT/CT検査が実施できること。
3)画質の評価ができ、追加撮像・再撮像に対応できる。
2)装置の性能評価方法を理解し、周辺機器を含めた精度管理が行えること。
4)放射性医薬品の集積機序と必要な前処置を理解し、適切な患者問診が行えること。
5)放射性医薬品の取扱い(貯蔵、標識、分注、投与監視など)が的確に行えること。
6)放射性廃棄物の処理が的確に行えること。
7)法律に関しての知識を習得し、それに基づいた放射線安全管理が実施できること。
8)患者および診療従事者(職員)の被ばく管理ができること。
DR
DRでは、多くの診療科が多岐にわたる透視検査を行うため、随時、透視機器の適切な取扱指導や、検査の補助を行う他、放射線防護に関する指導・教育能力も求められます。また消化管造影検査における精密検査も行っており、高度な消化管透視の手技や病態に関する専門的な知識も必要となります。
具体的習得目標
1)各種装置の操作法の習得と装置の日常管理。
2)患者および術者の被曝線量の把握と被曝低減方法の理解。
3)消化管透視検査に関する手技の習得。
4)消化管病変に関する病態の理解と読影能力。
US
US検査は検査手技だけでなく、検査終了後のレポート作成が必須となります。 レポート作成時には、臓器の解剖、疾患の病態を正しく理解しレポートに反映させる必要があります。 また質の高いUS検査を行うためには、 CTやMRIなどの他のモダリティーの検査も理解し、総合的に病態を判断できる知識が必要となります。
具体的習得目標
1)各検査項目におけるUS装置の基本操作ができる。
2)臓器の解剖を理解し、目的臓器を正しく描出できる。
3)得られた画像や測定値から病変を特定し、 正しくレポートに反映させる。
4)CTやMRIなどの画像所見も参照し、総合的に病態を判断できる。
5)安全で質の高い検査が実施できるように装置の精度管理ができる。
原子力災害医療
広島大学は、1999年発生したJCO臨界事故後、緊急被ばく医療における西日本ブロックを統括する三次被ばく医療機関に指定されていました。2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴う福島第一原発事故では、直後より広島大学は37班の緊急被ばく医療チームを編成し、各被災地で支援活動を行ってきました。原子力規制庁は、今回の災害を教訓として災害・救急医療体制と融合した新たな原子力災害医療体制を再編成し、広島大学は平成27年度から「高度被ばく医療支援センター」および「原子力災害医療・総合支援センター」に指定されました。現在は九州を除く西日本を中心に原子力災害医療の中核人材及び原子力災害医療派遣チームを育成するため研修や訓練等に参加し指導を行っています。
具体的習得目標
1) 原子力(放射線)災害医療対応のための基礎知識の習得(QSTやREAC/TCなど)
2) 放射線管理能力の習得(汚染測定、養生など)。
3) 原子力災害を想定した避難退域時に必要な知識の習得(汚染検査会場設定など)。
4) 医療施設における原子力災害医療への対応(除染やさまざまな医療への対応など)。
5) 被災者への心のケアへの対応(リスクコミュニケーション、被ばく相談など)。
6) 組織の統括能力、柔軟な対応能力、判断力の取得(他機関、他職種との連携および人間関係の構築など)。
教育指導委員
河野 信吾 副部門長
藤岡 知加子 副部門長
相田 雅道 副部門長
横町 和志 副部門長
安部 伸和 主任診療放射線技師
北川 康子 主任診療放射線技師
穐山 雄次 主任診療放射線技師
高内 孔明 主任診療放射線技師
が中心となり勉強会を主催し指導する。
全体の統括指導
越智 悠介 部門長
木口 雅夫 副部長
が統括する。
2019年12月16日改訂2024年8月28日改訂